今回のシミ抜き事例は襦袢についてしまった墨汁のシミ抜きになります。
シミ抜きの中でも難しい種類の墨汁と、扱う上で難しい繊維の絹。この2つが合わさると、非常に困難な品物になるのは想像できると思います。
では、なぜ難しいのか。
まず墨汁。このシミが本当に厄介なんです。
最近の墨汁は昔ながらの墨とは違い、いろんなものが混じっていたりしますが、やはりカーボンも混じっているので、ここが本当に厄介。
繊維の奥に細かい粒子のカーボンが入り込むため、取り除くことが非常に困難なのです。しみ抜きで薄くはなっても、完全に取り除くことは困難を極めるでしょう。
やり方としては、物理的に除去するしかありません。
そして絹。この絹が非常にデリケートでして、とにかく弱い。特に摩擦などに弱い。
擦れば毛羽立ちますし、そもそも非常に薄いので力をかけることは厳禁です。
物理的なシミ抜きを必要とする墨汁と、物理的な作用に弱い絹の襦袢。
難しい組み合わせです。
ですが、私たち信越長染会のメンバーは様々なシミと繊維と性質を学んでおりますので、最適な方法で処理に取り掛かることが出来るのです。
アフターです。しっかりとシミを取り除くことが出来ました。
今回のシミに関わらず全てのシミに言えることですが、一度いじってしまうと取れにくくなってしまう事が非常に多いです。
大切な衣類でしたら、ぜひ無理にいじらずそのままお持ちくださいね。
投稿者プロフィール
- 長野県須坂市のクリーニング店5代目として、日々様々な衣類のシミと向き合っております。 違いのわかるクリーニングを目指し、どのような衣類のシミも全て全力で向き合わせて頂きます。
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